子どものメガネは視力がいくつになったら必要なの?
[クイズ]学校の視力検査で○判定が出たら、メガネを考えはじめたらいいでしょう。
メガネの理想的な度数
今回は、子どもにメガネをつくるタイミング、そして子どものメガネの理想的な度数について考えてみましょう。その前に、突然ですがクイズです。
「遮眼子(しゃがんし)」とは、いったい何でしょうか?
いきなり難問と思われたかもしれませんが、実は誰もが一度は使ったことのある、おなじみのアイテムです。
正解は……。
視力検査で使う、片目を覆うスプーン状あるいはシャモジ状のアイツ。アレが遮眼子です。
続いて、第二問(「続くんかい」というツッコミは無視して)。
「ランドルト環」とは?この流れから、簡単に想像がつくかもしれません。
正解は、そう!
視力検査のマークのことです。検査表の上に並べられている、上・下・右・左・右上・右下・左上・左下のうち1箇所に切れ目の入った「C」のようなマーク。アレがランドルト環です。
「370(サンナナマル)方式」とは?
では、ポイント2倍(?)のラスト問題!「370(サンナナマル)方式」とは?
さすがは最終問題、難しいですね。
やはり視力検査にまつわる用語なのですが、ほとんどの大人は聞き覚えがないかもしれません。
もったいぶっても仕方がないので、とっとと正解を発表しましょう。
学校検診において、子どもの視力を短時間で検査するために導入されたのが370方式。1.0、0.7、0.3の3種類の大きさのランドルト環のみを使って検査がおこなわれます。
今の学校では当たり前となっている370方式ですが、学校保険法の一部が改正された平成4年度から徐々に広まったものなので、子育て世代の大人には分からないのです。
370方式の視力検査で判定されるのは、A・B・C・Dという四段階評価のみ。
保護者が学校から受け取る検査結果には、子どもが以下のどこに該当したかが記されています。
- 《370方式の視力検査》
A ▶ 1.0以上
B ▶ 0.9〜0.7
C ▶ 0.6~0.3
D ▶ 0.2以下
確かに、昔の学校でおこなわれていた詳細な検査に比べると、370方式は省略形です。しかし、大勢の子どもたちに各種健康診断を迅速におこなわなければならない、現実の教育現場に即した方式ということで、広く採用されているわけなのです。
A・B・C・D四段階評価でも、視力が学業へ影響するかどうか、おおよその判断をすることができると語るのは、二本松眼科病院副院長の平松類先生です。
「A(1.0以上)なら、まず問題はありません。B(0.9〜0.7)の場合も、前の席でも後ろの席でも黒板の文字は見えるはずなので、学業には支障が出ません。ですが、念のために眼科を受診してください。裸眼で1.0以上が出ない場合、近視だけではなく何かの病気が隠れていることもあるからです。その場合、メガネなどで矯正しても視力が出ないことがあり、治療が必要です。そうした病気ではなく、近視がはじまっていることによるB判定だったら、そこまで急いでメガネをかけさせる必要はないと思います」
ということは、メガネが必要なのはC(0.6~0.3)以下の子どもということですか?
「そうですね。C評価(0.3〜0.7)の視力では、黒板の字が大きい低学年で前の席だったら大丈夫でしょう。ただし高学年になると板書の文字が小さくなるので、学業に支障をきたすことも考えられます。だから保護者の方のひとつの目安として、C判定で視力0.7を切ったら、メガネを考えてみては?ということになります。そしてCの0.3以下では、黒板の文字が見える見えないという以外にも、日常生活でいろいろな支障が出てくるので、メガネを急いだ方がいいと思います」
大人がメガネをつくるとき、1.0以上はっきりと見える度数のメガネだと、目が疲れてしまうので、あえて少し弱めの度数にすることがあります。
では子どもの場合は?やはり大人と同様に、少し弱めの度数でつくった方がいいのでしょうか?
「基本的には、1.0が見えるメガネにするべきだと言えるでしょう。強めの度数にするのはダメです。1.0よりも1.5、1.5よりも2.0の視力が出たほうがいいと思う人もいるようですが、そこにはあまり意味がありません。逆に、大人と同様に弱めがいいのかというと、子どもの近視に関してはこれもさほど効果的ではありません。大人になると老眼が出てくるので、弱めにすると手元が見えやすくなることがありますが、子どもの場合は老眼はないので手元をみる力がしっかりあるので大人ほどには疲れないという事があります。」
子どものメガネは、学校健診でC判定(0.6~0.3)が出たら考えること。
メガネをつくる際は、あえて弱めにしたり強めにしたりすることなく、1.0が見える度数を基本に考える。
ただし、と平松先生は最後に付け加えました。
「基本は1.0ですが、メガネはその子にとって一番見やすい度数を、個々に考えるべきです。かけてみてクラクラするようだったら少し弱めにしても構いません。その子にとって一番好ましい見え方になるメガネを、柔軟に選んであげることが大事だと思います」
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