視力低下や弱視につながる目の病気も見つかる?

最近の学校での眼科健診は何をしているの?

最近の学校での眼科健診は何をしているの?

学校で行う目の検査は、お子さんの目の現状を把握するために、とても大切なものです。
お子さんの視力の悪化や目の病気などの多くは、ここで発見されることも多いです。

今回は、学校での目の検査について、兵庫県で5つの眼科医院を運営する医療法人社団医新会理事長、新見浩司先生に聞いてみました。
新見先生が運営する眼科医院では、毎年計25校もの学校に出務し、たくさんの子どもたちの目を診ているとのことです。

現代の学校検診の目的は、より総合的に“視覚の管理”を目的とするように推移しているのだそうです。

「眼科領域の学校健診では、
① 年一回の眼科検診(あっかんべー検診)
② 春・秋の年二回の視力検査
があります。

眼科検診は、視力低下や弱視にもつながりかねない目の病気の早期発見が目的。そして視力検査は、黒板の字をきちんと見ることができる視力があるかどうかを調べるのが目的です。
たくさんの子どもを迅速に検査していかなければならないので、いずれにもスクリーニング(「選別」や「ふるい分け」という意味)的な性格を持つもので、細かい診断まではおこないません。もしも学校検診の結果、『要検査』の通知がきたら、すぐに眼科医に行って相談するようにしてください」(新見先生)

視力検査はわかりますが、先生のいう、あっかんべー検診こと眼科検診とはいったいどんなもので、どのような病気が見つかるのでしょうか。
「両目の下まぶたを、あっかんべーするように引っ張って、“外眼部”と呼ばれる眼球の周囲の器官を、ペンライトの光をあてながら確認する検診です。

これによって、アレルギーによる結膜炎やさかさまつ毛、“めばちこ”や“ものもらい”と呼ばれるまぶたの化膿性炎症、角膜の異常、眼位異常(斜視)、その他の目の病気の有無を見ています」
最近の学校での眼科健診は何をしているの?

ちなみに、本来の眼科検診は、お医者さんが子どもの顔に触れて“あっかんべー”をさせ、上まぶたも指で触ってしこりがないかなどを確認するそうです。
でも、コロナ禍がはじまってからは、お医者さんは手を触れず、子どもたちに自分の手で“あっかんべー”をしてもらうようにして診ているのだとか。

お子さんの目の状態を把握し、問題を早期発見するためには、経験豊富な眼科医がチェックをしてくれる学校検診はとても有効なものです。
とはいえ、詳細な検査と診断、それにもちろん治療などはおこなわれないので、万が一問題を知らせる通知が来たり、視力が悪かったら、すぐに眼科医へ行きましょう。

目の病気だけでなく、視力の低下に関しても早めの対策が大切です。例えば、一度、近視が進んでしまうと、元には戻せません。「低濃度アトロピン点眼」での治療などで、一刻も早く近視の進行を遅らせるといった対策が必要なのです。

〈参考文献〉
新見浩司・監修『お医者さんがすすめる視力回復 本物の「目の体操」7日間メニュー』
(2013年、リンケージワークス)

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