とりあえず、メガネ屋さんに行くで大丈夫?
“眼鏡処方箋”
子どもの、初めてのメガネ選び。実は、親御さんがよくやりがちな間違った行動があるようです。「初めてお子さんにメガネを作ってあげる際は、直接メガネ屋さんに行くのではなく、必ず眼科に行き、“眼鏡処方箋”というものを書いてもらってください。眼鏡処方箋には、眼科医が判断した、その子にとっての最適な度数が書かれています」
兵庫県で5つの眼科医院を運営する医療法人社団医新会理事長、新見浩司先生に“メガネ選びのポイント”を尋ねると、まっ先にそう答えてくれました。
新見先生によると、子どもの視力低下の原因は、一般的な屈折性近視や眼軸近視だけではなく、さまざまな病気が原因のこともあるので、まずは眼科で視力低下の原因を突き止めるのが重要なのです。
また、処方箋なしでいきなりメガネ屋さんに行くと、度の強いメガネを作られがち。
メガネ屋さんとしては、「せっかく買ったのによく見えない」というクレームを避けるため、しっかりと視力が出る“過矯正”気味になりがちなのだそうです。
しかし、特に初めてのメガネの場合は、子どもが矯正に慣れるためにも、そこまで度を強くしないほうがベター。
眼科医に相談し、最適な度数を決めてもらいましょう。
ということで、メガネ選びのポイント①は、“選ぶ”以前に必ず眼科専門医で処方箋をもらうことでした。
新見先生からはさらに4つ、メガネ選びの際に気をつけるべきことを挙げてもらいました。
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ポイント①
必ず眼科専門医で処方箋をもらうこと -
ポイント②
保証が充実しているメガネ屋さんで作ること。
「子どもの場合はどうしてもメガネの扱いが雑で、壊したり歪ませたり、レンズに傷を入れたりしやすいものです。
レンズ交換にも対応してくれる、保証の充実したお店が良いですね」 -
ポイント③
頑丈なフレームのメガネを選ぶこと。
「一概に、がっちりした固い素材のフレームがいいというわけではありません。細いフレームでも、柔軟で壊れにくい場合もあるので、よく吟味して決めるようにしてください。
決しておしゃれさだけで選ばないように。デザイン優先で、変形しやすいメガネもありますから」
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ポイント④
鼻パッドとテンプル(つる)がしっかりフィットするものを選ぶこと。
「子どもの顔にしっかり合っているかどうかは、素人には判断がつきかねるところもあるので、メガネ屋さんに委ねなければならないでしょう。
でも職人技でもあるメガネのフィッティングは、お店によって技術のレベルがまちまち。口コミなどを参考に、評判のいいメガネ屋さんを見つけるようにしてください」
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ポイント⑤
レンズが大きめのメガネを選ぶこと。
「デザイン優先のメガネには、レンズが細く小さなものもありますが、子どもには向いていません。でも逆に大きすぎると、レンズの重みが気になります。視野をしっかり確保できる、そこそこの大きさのレンズのメガネを選ぶのがいいでしょう。」
メガネ選びの重要なポイントは、“良いメガネ屋さんを選ぶ”こととお気づきでしょう。
新見先生によると、子どもにとって良いメガネ屋さんとは、第一に子どものメガネ専門店。
でも近くにそういうお店がなければ、子ども用フレームをたくさん揃えているお店を選べばいいということです。
大事なお子さんの「ファーストメガネ」。
素敵な一本を選んであげてくださいね。
〈参考文献〉 新見浩司・監修『お医者さんがすすめる視力回復 本物の「目の体操」7日間メニュー』(2013年、リンケージワークス)
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