視力低下=即、メガネじゃない!パパやママの子ども時代と現代とでは、対策方法が違う!
どう対処するのが正しいでしょうか。
突然ですが、質問です。学校健診の結果が返ってきて「視力不良」と指摘されたとき、あるいはお子さん自身が「黒板の文字が見えにくい」といい出したとき、親としてはどう対処するのが正しいでしょうか。-
① “席を前のほうにしてもらうよう、先生にお願いする”
-
② “メガネ屋さんにいって近視のメガネをつくる”
-
③ “眼科に連れて行く”
さて、あなたはどれを選びますか?
正解は、③“眼科に連れて行く”。さらに、ここで重要なのは、受診の目的は近視を矯正するメガネの度を調べるためではないということです。
「眼科を受診するのは、お子さんの視力を正確に測定し、近視や遠視、乱視の有無、ほかに目の病気がないかをきちんと診断してもらうためです。学校で行う学校健診の視力検査は、流れ作業でランドルト環(Cのような環っか)の切れ目を答えるという自覚的な検査であり、検査を受ける時間や環境、疲労度、本人の意識などの条件によって結果が大きく変わってきます。近視だと思っていたら、実は片方の目に遠視があったとか、乱視があったというケースもあり、これらは眼科できちんと調べないとわかりません。
子どもの近視の原因のほとんどは「軸性近視」といって、目の奥行きの長さが伸びていくことによって進むことがわかっています。メガネやコンタクトレンズで視力を矯正するしかなかった親御さん自身の子ども時代とは違って、目薬や特殊なコンタクトレンズを使って近視が進むのを抑える治療があることも解明されているのです。
現代の医療は専門性が高くなっています。“内科”といっても、胃腸の病気を診る消化器内科があれば、気管支や肺を診る呼吸器内科もあります。眼科クリニックも、実は緑内障治療が得意であったり、白内障の手術が専門であったりする場合があります。できれば、子どもの眼科診療に長けているクリニックや病院で診てもらうことをお薦めします」(CS眼科クリニック院長・宇井牧子先生)
医学・医療はどんどん進歩しており、眼科医であってもつねに勉強して知識や技術をアップデートする必要があります。たとえば、日本人の中途失明の原因のトップである緑内障であれば、標準的な治療方針が統一されているので、どの眼科に行っても治療に大きな差はありません。
しかし、子どもの近視の場合は、眼科を受診しても“仮性近視”といわれて、日本で伝統的に使われてきた保険適用の点眼薬を処方され、メガネの処方箋を渡される、というケースのほうがいまだに多いのが現状のようです。近視の治療は、そもそも自費であることに加えて、ここ数年で世界的な研究結果が出そろってきている段階なので、眼科の先生たち自身が勉強してアップデートする必要があります。このような背景があるため、子どもの近視の治療についてはクリニックによって非常にばらつきがあることは否定できません。
残念ながら、現状では、親御さんが積極的に情報収集し、近視治療をしっかり行っている眼科を選んで受診しないと、お子さんの近視の進行度合が変わってくるだけでなく、生活の質にも影響するうえ、近視が原因で起きる病気のなりやすさなどに差が出てしまうのです。
幸い、今は健康に関する書籍だけでなく、インターネットという武器があります。日本近視学会のサイトを見れば近視について知ることもできるし、眼科クリニックのホームページで診療内容を知ることもできます。
お子さんの将来を考えたら、大切な目を守るためにまず、するべきことは、メガネ屋さんに直行することではありませんね。親としても、近視の治療に関する最新の正確な情報をリサーチして、あとで後悔しないように対処したいものです。
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